- うつ病で休職してしばらく経った
- 休職した当初から少し体力気力が戻ってきた
- 復職のために何を準備すればよいかわからない
このような方に向けた記事です
必要なことは、うつ病になった原因を振り返り自己分析することです
前の記事で、休職初期はまず心身を休めることが重要だと書きました
ここでは職場復帰に向けた準備について書きます。休職してしばらく経ち、心身の状態が上向きになった時に行いましょう
もくじ
うつ病になった原因を振り返り自己分析する
復帰してまた元の職場に戻る・異なる部署に異動する・はたまた転職するにしても、うつ病になった原因を振り返り、自己分析することが重要です
なぜなら自己分析を行わないと、また同じ状況でストレスをかかえてしまい、うつ病が再発する可能性があるからです
しかし原因を探れば、対策をとることができます
うつ病は再発率が高い病気と言われています。復職後に難しいのは、いかにうつ病を再発させず働き続けられるかです
うつ病になった原因を自己分析する方法を具体的に書きます
休職当時にストレスを感じたことを具体的に書きだす
手書き・スマホ・パソコン、なんでも良いです
ただし、頭の中だけで考えるのは避けましょう
なぜなら記憶は、早く消えてしまうからです
人の脳は1度勉強したことを1時間後には56%忘れ、1日後には74%、さらに1週間後には77%、1カ月後には79%を忘れるとされています
書きだして見える形にしておいた方が、後々振り返るのが楽です。さらに書き出すことで、少しすっきりします
時系列で出来事・思ったこと・行動・心身状況を書く
書き出すときは、以下のことがポイントです
- 時系列で書きだす
- 出来事は事実のみ書いて、思ったことと切り離す
- 嬉しい・喜ばしいことでもストレスに感じることもある(結婚、昇進など)。そういったこともあるか振り返る
- 行動・心身の状況は、どんな細かいことでもいいのでどういう変化があったかを書く
- 正解は無いのでとにかく書きだす
どのように書くか、具体例を用いた方がイメージしやすいですよね
いつ | 出来事 | 思ったこと | 行動・心身の状況 |
---|---|---|---|
1月 | 妻が妊娠した | 待望の第一子なので嬉しかったが、「良き父」になれるのだろうかと少し不安に感じた | 妊娠中に行うべきサポートを情報収集した。夜遅くまで調べることもしばしば。日中眠くなることが増えた |
4月 | 係長に昇進 | 以前の直属の係長のように仕事ができる上司にならないといけないとプレッシャーを感じた | 現場を良く知るために部下と密にコミュニケーションをとった。仕事が多い部下の業務を自ら担うなどサポートした |
5月 | 残業が増えた | 仕事が遅いのは自分のせいなので仕方ない | ストレス解消のため寝酒をする日が多くなり目覚めが悪くなった |
6月 | 週明け会社に行くのが辛くなり当日に休むことが増えた | 職場のメンバーに申し訳ない | 休んだ分を残業と土日出勤でカバー。焦りと不安が大きくなった。食欲が無くなって体重が減った |
7月上旬 | 妻に勧められ心療内科を受診。うつ病と診断され休職するよう医師に言われた | 心療内科には抵抗があり行きたくなかった。自分がうつ病になるはずは無い。子どもが生まれるのに休んでいられないと思った | 心療内科で処方された薬は怖くて飲まなかった。休職すると迷惑がかかると思い、上司には何も相談しなかった。夜は寝酒をしてもなかなか寝られなくなった |
7月下旬 | 上司に休みが多いため心配され面談をするよう持ちかけられた | 上司にはこれ以上迷惑をかけてはいけないと思った。 | 上司には大丈夫ですと言って面談は断った。誰にも相談できなかった。不安、不眠、焦燥感が日中続いた |
きれいにまとめようとしなくても大丈夫です
さて次はこの事例で、何がうつ病になった原因かを掘り下げます
何が苦手か。思考のくせはあるか
休職当時の状況を書きだしてみたところで、次の3つの観点で掘り下げてみてください
- 苦手な「人、環境、行動」はあるか
- 思考のくせはあるか
- この場面は、●●すれば(しなければ)良かったと思った出来事があるか
これらを把握しておくことで、復職に向けた対策が格段に練りやすくなります
さあ上の事例ではどうでしょうか
②「良き父」や「仕事のできる係長」であるべきとか、「~~であるべき」って考えがち
③処方された薬を飲めば少し状況は良くなったかも
他にもあげるとすると
- 係長なのに部下の仕事を担っていることから、残業が増えている
- 上司の役割である、部下に仕事を振ることがまだできていない
- 仕事をふれていないことと、誰かに相談できていないことから、総じて「人に頼ること」が苦手であると考えられる
- 寝酒で余計に睡眠の質が悪くなっているので、お酒は控えた方が良かったかもしれない
- 「自分がうつ病になるわけはない」、「精神疾患の薬は怖い」と勝手な凝り固まった考えをしてしまっている
これを読んでいただいている方で、他の観点で気付いたことがある方もいると思います
思考のくせ(認知のゆがみ)がストレスの原因であることが多い
上の例では「●●であるべき」、「◆◆せねばならない」という思考のくせがストレスの原因のひとつになっています
思考のくせは、認知のゆがみとも言われています。聞きなれない言葉ですが、認知のゆがみがストレスの原因になると言われています
他に認知のゆがみの例をあげます
- 全か無か思考
- 極度の一般化
- 完璧主義
- マイナス思考
- 拡大解釈、過小解釈
認知のゆがみについては、ここでは書ききれないので別記事で書きます
次は自己分析をさらに掘り下げられる方法を書きます
第三者に見てもらう
確かに恥ずかしいとか嫌な気持ちはわかります
しかし、自己を掘り下げることを自分だけで行うのは限界があります。なぜなら自分を客観視するのは相当難しいことだからです
しかし第三者から見てもらってアドバイスをもらうことで、自分が気付いていないことも掘り下げることが可能です
例えば口ぐせは、自分では意識せず多用してしまいます
一方、他人の口ぐせにはよく気付くことってが結構あると思います
それと同じで「自分が気付いてないくせ」を第三者に探してもらうのはとても有効な手段です
私はリワーク(復職支援プログラム)の場で、他のメンバーや精神科医・臨床心理士・精神保健福祉士のスタッフから指摘・アドバイスをしてもらいました
一般的に医師の診察はあまり時間をとってくれないので、カウンセリングサービスを利用するのも選択肢の一つです
しかしカウンセリングは、保険診療の対象外であるため10,000円近くかかる場合もあり敷居が高いです
最近は手軽にオンラインで相談できるサービスがあります。カウンセリングに10,000円かけるのはちょっと…という方は、一度試してみるのもよいと思います
次ではさらに自分のことを知る方法を説明します
自分史を作ってさらに自分を知る
自分を掘り下げるには、休職当時のことだけでは足りません
なぜなら苦手なことや思考のくせは、今までの生きてきた中の出来事でどう自分が感じ行動したか、という積み重ねで形成されてきたものだからです
休職当時のことだけではなく、生まれてから今までを振り返って(自分史をつくる)自己分析できればなお良いです
そうすることで、さらに自分の思考のくせや、ストレスに感じることを知ることができます
自分史を作るポイントは次のとおりです
- 生まれてから今までのできごとを上で書いたような表でまとめてみる
- 喜怒哀楽に焦点を当てる
- ストレスを感じたこと以外の「成功体験・失敗談・人生に影響を与えたこと・得意なこと」なども書く
- 過去を懐かしみながら・楽しみながら書く
枕に顔をうずめたい黒歴史なんかも書き出します
そして繰り返しになりますが、自分史を次の観点で掘り下げてみましょう
- 苦手な「人、環境、行動」はあるか
- 思考のくせ、考えの偏りはあるか
- この場面は、●●すれば(しなければ)良かったと思ったことがあるか
自分史を作るのは、自己を掘り下げられるだけでなく、結構楽しい作業です
【まとめ】自分を知ることで休職に至った原因を見つけ、対策を練る準備をする
職場復帰後にうつ病を再発させず働き続けるために、休職中に何をすればよいか。自己分析してうつ病になった原因を探ることが重要です
そしてその自己分析を第三者に見てもらうのが効果的です
うつ病になった原因を探るのは、復職した時の対策を練る準備のためです
対策の練り方は別の記事で書きます
最後まで読んで頂きありがとうございました
※うつ病からの職場復帰に当たっては、この本がとてもわかりやすくおススメです。休職時の会社とのやり取りから職場復帰までの一連の流れが丁寧に書かれてあります
